歯ぐきとその周辺の組織が炎症を起こす歯周病は、歯周病菌という細菌による感染症です。進行すると歯を支える顎の骨が溶け、最悪の場合、歯が抜け落ちてしまうこともあります。かつては老化現象で歯が抜けると考えられていましたが、実際は歯周病が原因であることがわかってきています。65~75歳の方のうち、歯を失い総入れ歯になる方は実に約4割にものぼるというデータがありますが、その大半は歯周病が原因とも考えられているのです。
歯周病は初期には痛みなどの自覚症状がほとんどありません。そのため放置されやすく、気がついたときにはかなり進行しているといったことも……。大切な歯を失わないためにも、まずは歯周病について知ることからはじめましょう。
歯周病の症状
歯周病により歯ぐきの炎症が起こると、ブラッシングしただけで歯ぐきから血が出ます。さらに、歯を支える顎の骨や周辺の組織まで細菌に冒されると、何もしていないのに血や膿が出るといった症状が出てきます。
歯周病菌が招く全身疾患
歯周病はお口の中だけの病気ではありません。歯周病菌が血液内に入り込み全身をめぐることで、深刻な疾患を引き起こすことが指摘されているのです。全身の健康のためにも、少しでも違和感を覚えたら、早めに歯科医院を受診するようにしてください。
歯周病菌が原因となりうるもの
- 糖尿病
- 心疾患(狭心症・心筋梗塞など)
- 呼吸器疾患・誤嚥性肺炎
- 骨粗鬆症
- 肥満
- 免疫疾患・アレルギー疾患
当院では、歯周病の原因には「歯周病菌」と「歯をゆする力」の2つがあると考えています。それは、歯周病菌によって炎症を起こしている歯周組織に、歯をゆするような力が加わることで余計に炎症が進行していくということ。つまり、咬み合わせの不適合が歯周病の進行を早めてしまうことがあるのです。
そのため、当院では歯周病治療においても咬み合わせを重視した対策を行っています。
次のような症状があれば、歯周病の疑いがあります。早めに歯科医院を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
歯ぐきから血が出る |
歯ぐきに炎症が起きると、ブラッシングしただけで血が出ることがあります。 |
口の中がネバつく感じがする |
口腔内に歯周病菌が増えると、朝起きたときにネバつきを感じるようになります。 |
歯ぐきに腫れがある |
歯ぐきの腫れは歯周病の症状。赤から赤紫色へと変色していたら要注意です。 |
歯が長くなったように見える |
歯周病の進行に伴い、歯ぐきが後退し、歯が長くなったように見えます。 |
歯に食べ物が挟まりやすい |
歯と歯の隙間が広くなり、食べ物が挟まりやすくなります。 |
口臭がきつくなる |
歯周病菌の繁殖によって、口臭がきつくなってきます。 |
歯ぐきが痛い・ムズムズする |
歯周病が進行すると、歯ぐきや顎の骨が物を咬む衝撃に耐えられず、痛んだりムズムズしたりします。 |
歯がグラグラする |
歯を支える骨が溶かされると、歯がグラグラしはじめます。かなり歯周病が進行していると考えられます。 |
歯ぐきから膿が出る |
かなり歯周病が進行している状態です。すぐに歯科医院を受診してください。 |
スケーリング | ルートプレーニング |
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ご自分でのブラッシングでは取り除けない歯の表面に付着した歯石を、特殊な器具で除去します。歯石自体は歯周病の直接の原因ではありませんが、歯周病菌が棲みつきやすく歯垢が付着しやすいため、まずは歯の表面に付着した歯石を取り除きます。早めに除去することで、歯周病菌の増殖を防ぎ歯周病の進行を抑えられます。 | スケーリングが歯の表面に付着した歯石を除去するのに対し、目に見えにくい部分の歯石を除去するのがルートプレーニングです。主に、歯と歯ぐきの間にある歯周ポケットに付着した歯石を特殊な器具を使い取り除きます。歯石を取ることによって、歯ぐきの炎症と歯周病の進行が抑えられ、歯周ポケット内部の歯の表面がツルツルになります。 |
ブラッシング指導 |
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歯周病の原因となる歯周病菌は歯垢の中に棲みつきます。この歯周病菌を日ごろのブラッシングでしっかり除去できるよう、お一人おひとりのお口の状況に合ったブラッシング法を指導します。なお、歯周病予防にはご家庭でのケアはもちろん、歯科医院でのプロのケアも大切。当院では定期検診も行っていますので、お気軽におたずねください。 |
歯をゆする力(咬み合わせ)も歯周病に大きな影響をおよぼします。歯周病の予防のためにも、咬み合わせを改善することはとても大切。当院では、咬み合わせに力を入れた治療を行っていますので、今は歯周病の症状がみられないという方も、お気軽にご相談ください。特に咬み合わせに違和感がある、という方は早めの受診をおすすめします。