咬み合わせは常に変化しています

咬み合わせの乱れは、生まれつきのものもあれば、歯の成長に伴って起こるものもあります。また、歯の治療や虫歯などのお口のトラブルによって起こった口腔内の変化に、無意識のうちに身体が反応して咬み合わせが乱れることも。常に変化しているお口の中の状況に応じて、咬み合わせも変化しています。今のあなたの咬み合わせ、チェックしてみませんか?

咬み合わせチェックリスト

次の項目のうち、あてはまるものをチェックしてみてください。

詰め物が外れやすい

歯ぎしりをしていると指摘されたことがある

起床時、口の周りがこわばっている

集中したり、緊張したりすると、無意識のうちに歯をくいしばっていることがある

犬歯やその前後の歯の先端が、極端にすり減っている

歯科医院で「歯ぎしりや咬みしめをしていませんか?」と聞かれたことがある

歯ぐきに硬く盛り上がったところがある

歯がかなりすり減っている

虫歯ではないのに歯がしみる(知覚過敏)

事故やケガ以外で歯が割れた(折れた)ことがある

口を開けると顎関節に痛みがある・カクカク音がする

頬の内側の粘膜や舌の周辺に歯の跡がついている

エラが張っている

肩こりがひどい

ストレスがたまりやすい

頭痛や耳鳴りがする

こちらのチェック項目に3つ以上あてはまる方は、ブラキシズムの問題がある可能性が高いといえます。 こちらのチェック項目に3つ以上あてはまる方はほぼブラキシズムの問題があり、そのせいでさまざまな身体の不調が起きています。
イエローゾーン レッドゾーン
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ブラキシズムとは?

ブラキシズムとは、お口周辺に起こる習慣的な癖のことをいいます。代表的なブラキシズムには、歯をギリギリとすり合わせる「歯ぎしり」や「咬みしめ」があります。どちらも無意識のうちに行ってしまうもので、歯ぎしりは睡眠中に、咬みしめは起きているときも眠っているときも無意識にしています。いずれも周囲の人に指摘されるまで気がつかないことがほとんどです。

歯ぎしり

咬みしめ

ブラキシズムが原因で歯が割れることも!

ブラキシズムによってかかる力は持続的であるため、硬い物を咬むときにかかる一瞬の力の影響よりも大きくなります。咬む力は、強い人では70kgを超えるともいわれています。この負荷が持続的にかかることで、歯や歯ぐき、歯槽骨(歯を支える骨)や周辺組織にさまざまな悪影響をおよぼします。

歯同士が激しくこすり合わせられると、まず歯の表面の硬いエナメル質がすり減ります。エナメル質がすり減り、脆くなると、象牙質が露出し、歯がしみる「知覚過敏」が起こるようになります。さらに負荷がかかると、歯の強度は落ち、割れやすくなります。特に、神経を取ってしまっている歯は、強度が落ちているため注意が必要です。また、神経や血管が通る歯髄が露出してくると、細菌に感染しやすくなり炎症を起こすこともあります。ここまでひどくなってしまうと、最終的に、抜歯が必要なケースも出てきます。

咬み合わせの治療について

咬み合わせの改善には、物理面、心理面など、さまざまな方向からアプローチする治療法があります。

認知行動療法

症状の原因となる習慣は、無意識に行っていることがほとんどです。この悪い習慣を自覚する(認知する)ことで、意識的に排除します。対象となる、悪い生活習慣や癖には次のようなものがあります。

  • 片側で咬む
  • 歯ぎしり・くいしばり
  • 悪い姿勢での長時間のパソコン作業
  • 日中、上下の歯が不用意に接触している
  • スポーツをしているときのくいしばり
  • 横向きに寝る
  • 頬杖をつく
  • ストレス
  • 過度の緊張

スプリント療法

スプリント療法

「スプリント」という器具(マウスピース)を、就寝時に装着する治療法です。スプリントは、歯科医院で型を取って作製します。顎関節や筋肉の安静、咬み合わせの適切化、歯ぎしり・くいしばりなどのブラキシズム防止の効果が期待できます。

咬み合わせ調整

咬み合わせ調整

歯を物理的に治療することで、咬み合わせを整えます。詰め物・被せ物・差し歯などの人工物が影響している場合はもちろん、天然歯であっても上下の歯がうまく咬み合っていないことがありますので、咬むときの力がきちんと分散するよう調整を行います。人の口の中は非常に繊細であるため、歯の高さを0.1mm変えるだけでも咬む感覚が変わり、咬み合わせを改善することでさまざまな不調を解消することが可能です。

下顎隆起・口蓋隆起(外骨症)の処置

ブラキシズムによって骨の外側の部分(皮質骨)が厚く膨らむことがあります。これを外骨症といいます。20代以降の女性に多く見られ、腫瘍と勘違いされることもありますが、特に問題があるものではありません。痛みがある場合には、骨を削って平らにする処置を行います。

PICK UP 咬むことと認知症の関係について

しっかりと咬むこと、それは脳の働きにとって非常に重要です。咬み合わせが乱れている、あるいは歯が抜けたままになっていると、認知症のリスクが高まるという研究もあり、今あらためて咬み合わせの重要性が指摘されています。大切なのは、歯1本1本がしっかりと咬み合っていること。逆にその数が少ないと、脳の萎縮や脳血流の低下が引き起こされ、結果的に認知症を招いてしまうと言われているのです。

健康寿命を長くするために

80歳で20本の天然歯(自分の歯)を残すことを目指した「8020運動」では、なんでも美味しく食べるためには最低20本の歯が必要と考えられています。しかし、世界一の長寿国として知られている日本では、80歳以上の平均残存歯数は10本以下というのが実情です。一方、世界第二位の長寿国スウェーデンでは80歳以上の平均残存歯数は21本。二倍以上の差があるのです。

総入れ歯になると、咀嚼力は三分の一に低下してしまいます。さらに、咬めなくなることで記憶力が五分の一にまで低下するというデータもあります。よく咬める歯を維持することは、全身の健康・心の健康、日常活動にも良い影響を与えます。ただ長生きをするだけではなく、健康で活力ある高齢者生活を送るために、末永く自分の歯を維持し、「生活の質」や「人生の質」を高めたいものですよね。

当院では患者さんのお口の健康を守るために、通常の歯科治療に加え、咬み合わせの改善を行っています。咬み合わせを改善することで、全身の健康維持を助けられることがあります。患者さん自身の今後の健康を考え、より快適な生活のお手伝いができればと考えています。咬み合わせなど、気になることがありましたら、なんでもお気軽にご相談ください。

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